クリアな未来のプロジェクト PROJECT 01

プロジェクト01 | クリアな未来のプロジェクト

中外ライフサイエンスパーク横浜

プロジェクト始動

世界最高水準の 創薬研究拠点の建設に お客さまとともに挑む。 求められた「水のパートナーシップ」。
世界最高水準の 創薬研究拠点の建設に お客さまとともに挑む。 求められた 「水のパートナーシップ」。

中外製薬さまは、革新的な医薬品を創造する研究開発型の製薬企業である。さらなる医薬品の研究開発を加速させるために、構想していたのが「中外ライフサイエンスパーク横浜」の設立だった。この世界最高水準、国内有数の大規模研究拠点は、従来の2つの研究所を集約させる目的以上に、はるかに大きな意義を持っていた。

世の中にまだない治療薬を生み出すために、未踏の領域に挑戦し、薬を待つ世界中の患者さんに届けること。その使命に向かって、中外製薬さまが重視したのが「水」である。創薬で使う水の純度は研究の再現性と精度を決定づけ、研究のプロセスで排出する水の処理は社会への安心と信頼の証となる。

給水と排水という、創薬研究に必要不可欠なインフラの構築を、水のプロフェッショナルであるオルガノはいかにして実現したのか。中外製薬さまの揺るぎないパートナーとして、現場で繰り広げられる挑戦の姿に迫った。

プロジェクトメンバー

  • 深澤 宏紀

    2019年から本プロジェクトに参画。設計時および建設時のプラント系営業担当。

  • 小畠 正樹

    2021年から本プロジェクトに参画。建設時のプラント系営業担当、運用後の主担当。

  • 本田 絢子

    2021年から本プロジェクトでの現場研修後、参画。運用後の営業を担当。

  • 二見 文也

    2020年から本プロジェクトに参画。統合的水処理設備のプラント設計を担当。

  • 小峰 崇嗣

    2017年、本プロジェクトの企画時から参画。グランドデザイン担当およびプロジェクトマネージャー。

  • 和田 恵明

    2019年から本プロジェクトに参画。卓上型超純水装置の導入・運用サポートを担当。

FOCUS 01

規模が違う、前例がない。
いかにして「最適解」

示せるか。

すべては、お客さまと同じ 未来を見ることから始まる。

時は少しさかのぼる。オルガノの小峰は、中外製薬の中嶋さまから壮大な研究施設の建設プランについての相談を受けた。それは創薬に関わる基礎研究を一層強化し、将来にわたって高度で安定した研究活動を行うための拠点で、「水処理が事業所の重要基盤のひとつになる」と小峰は相談の意図を直感した。水のプロフェッショナルとして取り組むべきテーマは大きく4つあった。研究を止めないための安定稼働、研究成果を確実にするための高品質、進化する研究に対応するための拡張性。これに、都市型立地ゆえの厳格な環境リスク対応が加わった。

「かつて経験したことのないビッグプロジェクトを目の前にして、全体像のイメージを掴みながら、同時に一つひとつをいかにして具現化していくかを考える必要がありました。意識したのは、今ではなく、先を見てお客さまと共有することでした」と、小峰は当初を振り返る。共有とは、単なる伝達ではない。お客さまとの対話を通して深意(インサイト)を理解し、期待を超える具体的なプランを提示しながら、プロジェクトを前へ進めていくことだ。

「求められているのは創造力と実行力」と小峰は自らのミッションを位置付けた。設備導入のみならず運用までを含めた総合提案をすること、トラブルすらも予測した対処法を織り込んだ内容にすること。そのために、何をどうすれば良いか、誰をどこに配置すれば推進できるか、プロジェクトメンバーを含めた構想を頭の中で駆け巡らせた。

適材適所で若手メンバーを起用。

プロジェクトの実施が決定し、進行に合わせて、小峰によってメンバーが召集された。設計の段階で、技術の二見と、営業の深澤に白羽の矢が立った。二見は排水処理設備のプラント設計で実績を重ね、顧客への説明スキルが高い技術者だ。深澤はグローバル案件をまとめるために海外赴任していたところを、プロジェクト始動のタイミングで日本へ呼び戻された。

運用を検討する段階になって加わったのが、営業の小畠と本田だった。小畠は現場に近い営業経験が豊富で、本田は新卒入社直後に当プロジェクトで現場研修を受け、その流れで配属された。前例のないビッグプロジェクトを目の前にして、最前線で活躍するオルガノの若手社員は何を感じたのだろうか。

  • 深澤

    「戸塚の駅前に中外製薬さまの準備室があり、これから詳細をやっていくぞというタイミングでの参加でした。我々の使命は明確に決まっていましたので、強いプライドを持ってそこに応えたいという一心で現場に立ち、お客さまと向き合いました。これだけ多くの研究棟を同時期に立てなければなりませんので、工期を遅らせられないという重圧と責任感もありました」

  • 二見

    「当プロジェクトでは排水処理設備のプラントを屋内に設置していますが、私自身、屋内のプラント設計は初めての挑戦でした。搬入はもちろんのこと、将来の入れ替えを見据えて搬出のことも考えて設計しなければなりません。屋外プラントでの知見も生かしつつ、図面の前で何度もシミュレーションを繰り返しました」

  • 小畠

    「研究者の皆さまに気持ちよく研究活動に専念していただくためには、運用はとても重要です。水処理の運用を支える業務は当社でも事例があまりなく、本田と2人体制で臨むことで、信頼に応えていこうと決意しました」

  • 本田

    「まず、この規模感に慣れることが大変でした。膨大な設備を安定稼働させるためには、どこをケアしなければいけないのか、日々学びながら一つひとつ身につけていこうと思いました」

FOCUS 02

立ちはだかる難題に挑む、 あくなき プロフェッショナリズム。

寸分の妥協も許さない 排水処理にかける情熱。

経験したことのない規模、かつ複合的機能を持つ研究施設は、さまざまな点で想定が難しく、特に排水処理はプロジェクトメンバーの頭を悩ませた。さらに、建設後も研究は進化していくため、どのような水質のものがどれくらいの水量で排出されるのか、未知数だった。

御殿場と鎌倉にあった中外製薬さまの研究所の排水のサンプルを採取して、自治体が求める下水道基準に照らし合わせ、将来を見据えながら水質と水量の想定を積み上げていった。排水処理プラントを設計した二見は「今後の設備増設の方針などをお客さまに細かくヒアリングして、水質と水量を想定しました。それでも不確定要素は出てきます。ですから想定される排出量の2倍のタンクを設置したり、処理すべき内容物が増えた時に対応できるような機能をあらかじめ持たせたり、監視計器を通常より多く搭載するなど、先手を打つ設計を組み込みました」と語る。

ここまで徹底的に排水処理にこだわることには理由がある。中外ライフサイエンスパーク横浜は住宅地に隣接しており、絶対に基準値を超える排水を流すわけにはいかない。中外製薬さまは施設の情報を公開して、安心感を届ける取り組みをしている。オルガノには環境リスクゼロへの期待に応える使命があるのだ。ちなみに、建設条件を決める段階で、排水は既に基準をクリアした水だったという。それでも、そのさらに上を目指す中外製薬さまの安全への矜持が伺える。

「研究を止めるな」が プロジェクトに関わる 全員の合言葉。

もうひとつの大きな課題は、設備の安定稼働だった。給水や排水のわずかなトラブルで、研究が止まってしまう。研究員が安心して研究活動に専念できるように、設備の稼働を止めない運用は最優先事項だ。そこに対してオルガノは、設置機器の遠隔監視を可能にするオンライン運用を自発的に提案した。広い敷地に設置された膨大な数の機器の運転データや水質データを、リアルタイムに、かつ精確に監視することで、運用の効率と精度を飛躍的に向上させることができる。

「施設内のプラントの各所や、一台ずつの超純水装置に設置した監視モニターが状態を読み取り、トラブルの発生を未然に防ぎます。万一のトラブル発生時には我々がすぐにお伺いできますし、現場には専門スタッフも常駐していますので、初動の早い対応ができるのです」と小畠が説明する。

その言葉を受け、深澤は「運用管理は、中外製薬さまの事業所運営の核の部分と認識して行なっています。研究を止めないための重要な役割を担っているというプロフェッショナル意識を常に持ち、環境面でのお客さまの社会的責任に応える気持ちで取り組んでいます」と強調する。

また、さまざまな研究室に合計100セット以上導入された超純水装置は、将来の研究室の拡張性を見据えて「個別設置かつアンダーシンク型」とした。建屋ごとに配管を張り巡らせる方法もあったが、それだと固定されてしまうからだ。将来どのような研究が進められるのか、どのような機器を入れていくのか、お客さまと対話し、これまでの知見を付加して想像しながら、設備の全貌があらわになっていった。なお、中外ライフサイエンスパーク横浜では、研究で使う超純水だけでなく、空調をはじめ事業用のすべての水をオルガノが用意し、提供している。

FOCUS 03

進化する研究所に
応えるための
真のパートナー像とは。

最先端であり続けるために、 プロジェクトは続く。

基礎研究で見つけたSeedsが新薬として実用化に至るまでに、10〜15年の歳月がかかると言われている。研究者たちが、その膨大なプロセスと厳しいハードルを乗り越えて研究に集中できるよう、中外ライフサイエンスパーク横浜もまた、さまざまな難題を乗り越えて実現した。徹底的に環境に配慮し、予想が困難な将来を見据え、ひとときも研究を止めない運用を目指した思いと達成感を、プロジェクトメンバーが振り返った。

  • 深澤

    「コロナ禍での建設現場という事情もあり、平時以上にさまざまな調整が必要でした。複数のゼネコンさん、サブゼネコンさんが関わる中で、『当施設にとって、インフラとしての水はとても大切です』と話された中外製薬さまのメッセージによって、現場がひとつにまとまりました。大きな事故もなく、工期遅延もなく進捗できて、日々達成感を覚えながらやり切ることができました」

  • 小畠

    「設備設置が完了した後の試運転では、どうしても調整レベルのマイナートラブルが発生します。深刻なものではありませんが、運用前に解決しておかなければなりません。時間的に猶予もありませんし、お客さまと共有しながら一つひとつ潰していくプロセスは、運用直前の集中ポイントでした」

  • 本田

    「最初は、会議室に同席してお話を聞いていても理解できなかったことが、少しずつわかってきました。今は、お客さまのお困りごとをどうすれば引き出していけるかを日々意識しています。また、お客さまとの定例会議では進行役を任されており、議題となる技術的なことの理解力に加え、対話力で応えていきたいと思います」

  • 二見

    「最先端設備が揃う都市型研究所建設の一翼を担えたことは、技術者冥利に尽きます。限られた時間の中で実現できたのは、深澤をはじめ営業とも密にコミュニケーションを取りながら進められたからだと思います。お客さまに対して専門的な説明は私たち技術が責任を持って行いますが、営業の理解が深いと連携が強固になります」

二見に呼応して、深澤は「お客さまの声を聞き、真意を理解した上で自分の考えも組み込んで技術側に伝えるのが営業の仕事だと思っています。ですから、可能な限り現場に行き、お客さまと同じものを見て、話すことを大事にしています」と語る。プロジェクトを支える若き力の言葉を聞きながら、小峰は「最近は、私が出席しなくても会議が回るようになりました。それだけ成長して、お客さまからの信頼が厚くなったのだと思います」と手応えを感じている。

最後に、このプロジェクトに対する中外製薬さまの感想を伺った。

  • 研究業務推進部 施設・環境グループ
    岸 靖浩氏

    「オルガノの皆さんが我々と同じベクトルで進み、一丸となって取り組んでいただいた賜物です。我々のニーズをしっかり汲んで、新鮮な提案をしていただける姿勢に、これからも期待したいですし、必要不可欠なパートナーです」

  • 研究業務推進部 施設・環境グループ
    中嶋 芳則氏

    「この最先端の創薬研究所は、これで完成ではなく、これからも最先端であり続けなければなりません。今後研究内容も変わっていく中で、進化し続ける研究所として、オルガノさんと一緒に進んでいきたいと思います」

  • 研究業務推進部 施設・環境グループ
    武井 優剛氏

    「設計の段階から、不明点があると連絡して動きのロジックや設計の根拠を聞きました。その度にわかりやすい言葉で的確な答えが返ってきて、助かりました。運用についてもレスポンスが早く、日々の管理も助かっています」

プロジェクト概要

施設名

中外ライフサイエンスパーク横浜

期間

2019年〜2023年

納入設備

1. 統合的水処理設備システム:高度ろ過処理設備(1,000,000L/日の造水量)、純粋蒸気用RO膜式純水設備、雨水利用のためのろ過設備・環境配慮型装置、排水処理設備、失活処理を含む多機能型排水処理、緊急排水槽(300,000L保有可能)

2. 研究棟内の空調加湿用純水装置 約40セット

3. 個別設置かつアンダーシンク型超純水装置 合計100セット以上

その他のプロジェクト